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■ どうしてサン電子が海外携帯電話へ目を向けたのか

サン電子は1985年からパソコンに関わるデータ通信分野の通信機器を開発・製造・販売しています。 この中でモバイル分野・携帯電話に関わるデータ通信モデムの開発にも力を入れてきました。 現在、日本で流通しているほぼ全ての携帯電話(ドコモ、Jフォン、ツーカー、AU、DDIポケットなど) で利用できるデータ通信ケーブル/データ通信モデムを販売しています。

これらの製品は全て自社開発しています。モバイル通信に特化したオリジナルCPU(半導体)を開発し各製品に搭載しています。 通信を行うためには、それぞれの携帯電話の種類や電波方式によって異なる通信制御方式(通信プロトコル)に基づいてデータ通信を行います。 通信プロトコルは電波状態が不良でデータが欠落したり化けたりした場合でもデータを補正・復元して正しいデータが送受信できるようにする手順を定義したものです。 この通信プロトコルはソフトウェアによって実現しています。サン電子では日本で利用できる全ての通信プロトコルの実装をオリジナルCPU向けに行いました。

これらの製品は弊社製品に限らずOEM製品やチップセットとして出荷し各種PDAや携帯電話に内蔵されています。 通信プロトコル単体でのライセンス供給も行っておりPDAやノートPCのソフトウェアモデムとしても利用されています。 これらをあわせて累計で数百万本を出荷しています。

■ GSM開発計画スタート

この流れの中で2000年8月から海外の携帯電話でも利用できるようにするために海外用通信プロトコルの研究開発に着手しました。 ターゲットはGSMです。GSM規格はほぼ全世界で利用できる事実上の世界標準規格です。開発を始めたのはGSMのモデム通信方式、回線交換方式(CSD)です。

一般的にCSDと呼ばれている通信プロトコルはGSM規格ではRadio Link Protocol(RLP)と呼ばれ、GSM標準規格番号04.22に定義されています。 RLPは伝送路(電波上)でエラーが発生しても自動回復できるエラーフリー・プロトコルです。PDC(日本の携帯電話)やPHSもこれと同じエラーフリー・プロトコルです。

2000年8月から日本でシミュレーションレベルの開発が始まり、同年12月からプロトコルの実地検証試験を始めました。 GSMは日本に電波が存在しないため、携帯電話をアメリカの弊社関連会社へ設置し、インターネット経由のリモートコントロール操作環境下でプロトコル部分の開発を行いました。 シミュレーションはPCを1台のモデムに見立て、携帯電話へ接続してデータ通信を行います。
ソフトウェア
RLP部分のモジュール
PC3台は擬似モデムや
測定装置、制御端末、
WEBカメラ制御で利用
GSM携帯電話の表示を
WEBカメラで日本へ伝送し
モデムの動作確認

PCシミュレーターでの検証後、弊社モバイル用オリジナルCPUへのGSMプロトコルの実装をアメリカで行いました。 このときはノキア製携帯電話向けのGSMモデムとして開発を進めました。 そして最終的にはUSB接続タイプのノキア用GSM通信ケーブルの製品プロトタイプが完成しました(2001年3月)。

シミュレーターから開発用基盤へ
実装開始・通信試験
NOKIA6150と開発用基盤 NOKIA61xx/51xx用USB通信
ケーブルのプロトタイプ

しかし商業的には失敗でした。当時、日本ではモバイルインターネット時代の幕開けと共に携帯電話や PHSをPCに接続してメールチェックをすることが多く取り入れられるようになっていました。 ところが海外では日本のような状況は全く一般的ではなく海外の販売店や移動体通信会社(キャリア) など関係各方面への営業活動は困難を極めました。最終的に量産には至りませんでした。

また、日本国内で海外出張・海外旅行へ出かける日本人向けに、この通信ケーブルを販売する企画も ありました。日本と同じように海外でもモバイルインターネットができるという商品です。 しかし日本国内で使えないものが果たしてどれだけ売れるか不透明過ぎ、時期尚早との判断 から国内販売は見送りました。

■ PDC/GSMデュアルモード端末

2001年1月、NTTドコモがPDC/GSM国際複合携帯電話機「N601wg」を発売しました。 N601wgは日本の携帯電話規格(PDC)とGSM900が合体した携帯電話です。海外では欧州やアジアで 利用できます。N601wgは日本と海外の両方でデータ通信に対応していました。 ただしデータ通信を実現するためには外付けのモデムを利用する必要がありました。

そこでサン電子ではGSM通信プロトコルの技術転用としてN601wg用のPDC/GSMデュアルモード ・データ通信ケーブルの開発に着手しました。日本と海外で利用できるデータ通信ケーブルです。 これを日本国内でN601wgユーザーをターゲットに販売することを目指しました。

2001年7月、各種マーケティングの結果、諸般の事情からこの商品も量産化には至らず、お蔵入りとなりました。
オーストラリアでの通信試験 ブリスベン国際空港にて

■ GSM関連ハードウェアの開発を終了

各種の製品プロトタイプを開発しましたが結果的に量産商品を1台も出荷すること無く GSM関連のハードウェア開発は終了しました。商品出荷はありませんでしたがGSMエリアの データ通信に関する有形無形の技術ノウハウを蓄えることができました。

海外の携帯電話市場について様々な販売企画の立案や市場調査を行い、さらに日本人が 海外で携帯電話を利用する場合に関する情報や動向などをフォローする体制を整えることができました。 さらにGSMに関わる企業との結びつきや関係者との協力関係を形成することができました。

■ そしてuKLIPへ

「海外へ出る日本人のためにコミュニケーション手段を提供できないか?」

というコンセプトがGSMモデム開発中から常に商品企画案の中にリストアップされていました。 GSM通信プロトコルの開発着手から足掛け3年、このコンセプトは生き続け、姿・形は当初と全く異なるものとして生まれ変わりました。

海外でも日本と同じように携帯電話で日本語のコミュニケーションが実現できるuKLIPをお届け致します。 uKLIPはサン電子がこれまで蓄積したGSMを始めとする海外携帯電話に関する全てのノウハウを投入した 商品・サービスです。

海外での日本語コミュニケーションの一助として皆様にお役立ていただければ幸いです。

商品企画・技術開発
水野政司
(2003/06/05)




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